このコーナーでは、大下宗香のプロデュースした茶器・棗を、時期によりチョイスして
ご紹介します。日本文化の美しさ・しなやかさを伝えると共に、トラディショナル・ク
ラフトの真の意味での豊かさを感じて頂きたいと考えております。

今回の特集は前回にご紹介した大徳寺芳春院好み十二ヶ月棗のパート2です。
以前お伝えした
2002年11月7日〜12日まで伊勢丹新宿店新館8階(特別会場)にて行われた
「京都大徳寺・芳春院と加賀伝統工芸作品展」にも展示された大徳寺芳春院/秋吉則州
住職と
今回コラボレーションさせて頂いたものです。
十二ヶ月それぞれの季節を詠んだ歌をテーマにし、なるべくシンプルに、そして品格を心掛けて
仕立てました。 各月の歌と照らし合わせながら御覧下さい。

 夏の穏やかな波の表情を棗全体に展開して
います。木地はスッとした背の高い中次で、
夏にはピッタリのカタチです。
オヤ部の立ち上がりにも波の絵が描かれてい
ます。シンプルの中にも風情を感じる品です。

■波蒔絵高中次(七月)
 歌・「無風起浪」
 月の印象が美しい茶器です。月には白乾漆
と銀が蒔かれ、深みのある表情をしています。
正に「清風明月」の風景。
シンプルデザインの力強さを味わえる逸品で
す。
■月蒔絵面棗(八月)
 歌・「清風明月」

 実りの憂いが茶器になったような品。
黄金に輝く稲が金・金平目などによって描が
かれています。
木地は黒の柿合わせ仕立てです。

■稲蒔絵黒柿合せ大棗(九月)
 歌・「一粒万々倍」

 凹凸の筋があるベースに描くのは大変手間
のいる作業です。丹念に描かれたススキは平
面に描かれたものより一味違った表情を見せ
てくれます。

■薄蒔絵糸目筋大棗(十月)
 歌・「秋露白如玉」
 冬の訪れを表現した、雁来の図です。
雲の向こうからはるばるやって来たという印
象のある構図になっています。
木地の中や底の部分には金や金平目によって
冬雲の表情が描かれています。
■雁来蒔絵平棗(十一月)
 歌・「昨夜一聲雁」
 最後に金沢らしさを印象付ける為、雪吊り
の松を描きました。金沢の兼六園では毎年こ
の季節になると雪吊りを施します。雪が木に
積もるのを防ぐ意味があるのですが、それよ
りもその様が美しく堂々として圧巻です。
ぜひ一度冬の金沢にいらしてみては?
木地は平の中次で、こちらも堂々とした大き
さがあり、優雅な趣きがあります。
■雪吊り松蒔絵平中次(十二月)
 歌・「松樹千年翠」
■以上で大徳寺芳春院好み十二ヶ月棗のご紹介は
終了です。
最後にこれから幾年も大聖寺芳春院にて受け継が
れて行くであろう十二ヶ月棗の制作にお手伝いさ
せて頂き、関係者の方々へこの場をかりまして 熱
く御礼申し上げます。

バックナンバーはこちらヨ。
Vol,1 ■花兎マキエ/独楽筋中次・筋中次

Vol,2 ■竹に雀高中次
Vol,3 ■楓に流水蒔絵香合
Vol,4 ■秋月夜溜面茶器

Vol,5 ■月に秋草蒔絵面棗
Vol,6 ■百人一首箱根付
Vol,7 ■朱柿合せ大棗鴛鴦蒔絵
Vol,8 ■大徳寺芳春院好み十二ヶ月棗-Part1

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